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【10】早期から教育相談で保護者とかかわるときに

 
「『ことばの教室』における早期教育相談と保護者支援(平成16年2月)」より  
 
 キーワード: 保護者支援、ことばの教室、乳幼児期
 

【この研究では】

 「ことばの教室」(言語障害学級、通級指導教室)では多くの教室で幼児の対応をしていること、保護者はことばの教室に子どもの障害だけにとらわれない相談の場を求めていること等が明らかになっています。この対象となっている幼児の中には、発達障害が疑われる子どもたちもいます。

 早期教育相談における対象は乳幼児であり、子どもへの直接的な支援だけではなく、保護者が育児を前向きに取り組めるように支える視点も大切になります。多くの「ことばの教室」が幼児の対応を行っているにもかかわらず、担当する教員は多くの場合、小学校教諭です。「ことばの教室」における早期からの教育相談は学童期のそれとは異なる課題があります。例えば、我が子の障害に関する保護者の受けとめや親子のかかわり方や就学に関する問題などです。

 そこで本研究では、早期教育相談における事例を通して、保護者との対応についての検討・分析し、ことばの教室における早期教育相談と保護者支援の在り方を明らかにすることを目的としました。

 ■研究の方法
子どもは下図に示すように様々な機関とかかわりながら成長し,就学を迎えます。
この研究では,子どもが成長する過程で関わる機関の職員を研究協力者として事例の提供を依頼しました。そして,事例を通して早期教育相談における保護者とのかかわりについて検討しました。

出生から就学までの流れ


【研究をして見えてきたこと】

 担当者が早期からの教育相談として保護者とかかわるときに、保護者に提示していく情報の観点を整理すると、次のようになります。

  1. 子どもの実態に関する情報
  2. 子どもの障害そのものに関する情報
  3. 教育・指導や養育に関する情報
  4. 障害に関係する団体等の情報
  5. 福祉制度の情報
  6. 生活の場の環境を調整するための情報(たとえば、地域の支援機関・団体等の情報)

 早期教育相談の担当者がこれらの情報を保護者に提示していく際には、留意点があります。
それは、子どもの実態を伝えるタイミングや言葉遣い、保護者の障害の受容程度や子どもに対する考えや気持ち、子どもと家族の関係などを担当者が理解している必要があることです。これらのことに配慮しながら、上記の項目について保護者と担当者が話し合い、情報を整理し、共通理解していくことが必要です。

 また、これらの項目のいずれもが、子どもの年齢、障害の種類と程度、医学や教育的対応、保護者の教育観などによって、様々な様相を呈してくると思われます。保護者が担当者と同じような考え方、教育観を持っているとは限りません。担当者の考えを押しつけるのではなく、対等な関係で意見交換していくことが大切です。

 さらに、一人の子どもに複数の担当者が関わる場合には、担当者間の連携を考えなくてはいけません。このような場合には、保護者に対して「ことばの教室」ではどのような支援が行えるかを提示していくことが必要でしょう。


【研究に関する情報】
  • 久保山茂樹・小林倫代・宍戸和成(2002):全国調査からみた難聴・言語障害教育の現状(3)-幼児への対応の実態-.日本特殊教育学会第40回大会発表論文集.
  • 久保山茂樹・小林倫代・佐藤雅次(2003):「ことばの教室」における保護者とのかかわり(1)-全国調査から見たかかわりの実態-、日本特殊教育学会第41回大会発表論文集.
  • 佐藤雅次・小林倫代・久保山茂樹(2003):「ことばの教室」における保護者とのかかわり(2)-担当者に対するアンケート調査から-.日本特殊教育学会第41回大会発表論文集.
  • 小林倫代・久保山茂樹・佐藤雅次(2003):「ことばの教室」における保護者とのかかわり(3)-保護者に対するアンケート結果から-.日本特殊教育学会第41回大会発表論文集.
  • 八木玲子他(2003):町ぐるみの支援体制作り-ことばの教室からの発信-.日本特殊教育学会 第41回大会発表論文集.
  • 清水英子他(2003):高機能自閉症児の親支援(2)-母親の障害認識の変容と療育支援-. 日本特殊教育学会第41回大会発表論文集.
  • 小林倫代・久保山茂樹・佐藤雅次(2004):「ことばの教室」担当者の言動と保護者の受けとめ. 独立行政法人国立特殊教育総合研究所研究紀要第31巻.

【研究組織】

 宍戸和成・小林倫代(研究代表者)・久保山茂樹・松村勘由・牧野泰美


【研究課題名】

 「ことばの教室」における早期教育相談と保護者支援(平成13~15年度)


【もっと詳しくお知りになりたい場合は】

 こちらの報告書は、研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-174.html


【本研究紹介シートの文責】

 小林倫代・久保山茂樹


本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。