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【44】発達障害のある子どもの早期発見・早期支援の充実に向けて

 
平成21年度 研究紀要 第37巻  「発達障害のある子どもへの早期発見・早期支援の現状と課題」
より 
 
 キーワード:早期発見・支援、乳幼児健診、幼稚園・保育所、ことばの教室、特別支援学校
 

【この論文では】 
 発達障害のある子どもは、早期から発達段階に応じた一貫した支援を行っていくことが重要であり、早期発見・早期支援の対応の必要性はきわめて高いと思われます。この早期発見・早期支援を具現化することについては、発達障害者支援法においても国の責務として明記されています。
 乳幼児期は、ことばの発達をはじめとしたコミュニケーションの能力、対人関係や社会性の育ち、様々な認知機能の習得等、学校における学習や集団生活、その後の自立や社会参加の基盤を形成するための大切な時期です。この時期に適切な支援を受けられないと、就学後の学習面や生活面に様々な困難を抱え、また、情緒不安や不適応行動等の二次障害が生じてしまうこともあります。
 このように発達障害のある子どもへの早期からの総合的な支援システムを構築することはとても重要性ですが、その障害特性に起因する課題も多くあります。現状の主な課題をいくつか挙げてみます。
 ①診断は、早期であるほど不確実性が高く、乳幼児期では発達障害の可能性はあるが確定診断がつきにくい子どもの割合が多い。
 ②保健師や保育の担当者等が発達障害の可能性に気づいても、適切に判断することは難しい。
 ③年少であるほど、保護者にとっては、障害の受容が困難な時期でもある。
 ④母子保健から始まり、福祉、医療、教育等の関係機関それぞれが断片的な支援になっており、発達段階に応じた生涯にわたる支援になっていない。
 ⑤幼稚園、保育所における障害のある子どもへの支援内容や支援体制、幼稚園、保育所に対する専門家や専門機関によるサポート体制が十分に整備されていない。
 ⑥各地方公共団体が整備している社会資源は様々であり、地域による較差も大きい。
 そこで、発達障害のある子どもへの早期発見・早期支援に関連する4つの調査結果から、わが国における発達障害のある子どもへの早期発見・早期支援の現状と課題について明らかにし、早期発見・早期支援に関するシステムの構築のための今後の在り方についてまとめました。

 ①「乳幼児健康診査における発達障害児の発見・支援に関する調査」
 ②「幼稚園・保育所における個別的な配慮等を要する幼児の発見・支援に関する調査」
 ③「ことばの教室等における幼児の指導・支援に関する調査」
 ④「特別支援学校における乳幼児期の子どもの支援に関する調査」


【論文の中で,最も強調したい点】 
 我が国の法定健診である、1歳6か月児健診、3歳(3歳6か月)健診は、受診率も高くほとんどの乳幼児が受けていることから、健診内容や調査票等を見直すことで、発達障害のある子どものスクリーニングの場として有効に機能する場であると考えられます。しかし、早期発見は支援につながらなければ意味がありません。早期発見の精度を上げるだけでなく、早期支援を実施できる専門機関等の体制整備が求められます。また、早期の支援が就学後にも継続するためには、法定健診後の3歳~5歳前後の時期にも気づきや発見、そして支援を行うことができるシステムの構築についても検討する必要があります。
 幼稚園、保育所においては、個別的な配慮の必要な子どもの多くが、保育の担当者により気づかれていることから、気づきを支援につなげる相談体制や支援体制が求められます。現行の母子保健や福祉部局などの体制では十分に対応できていない現状があります。教育機関であることばの教室や特別支援学校においては、発達障害と思われる乳幼児期の子どもの支援がかなり行われてきています。こうした教育機関と保健・福祉等の関係機関との連携が重要になります。
 早期発見・早期支援の段階では、子どもへの支援とともに保護者への支援も大切です。出産前からの情報提供や相談体制、情報を共有化するためのファイルの活用等も積極的に取り入れていく必要があります。


【執筆者】
   笹森洋樹・後上鐵夫・久保山茂樹・小林倫代・廣瀬由美子・澤田真弓・藤井茂樹

【論文名】 

  「発達障害のある子どもへの早期発見・早期支援の現状と課題」
 (平成18~19年度プロジェクト研究「発達障害のある子どもの早期からの総合的支援システムに関する研究」より)

【もっと詳しくお知りになりたい場合は】

 この論文は、研究所webページにて全文掲載されています。
 http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_a/a-37/a-37_01_1.pdf

【本研究紹介シートの文責】 

  笹森 洋樹

本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。