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【43】早期発見と早期支援-米国・英国・フィンランドから学ぶ-

 
平成21年度 研究紀要 第37巻「諸外国における発達障害等の早期発見・早期支援の取り組み
―米国、英国、フィンランドを中心に―」
より 
 
 キーワード:発達障害、早期発見、早期支援、米国、英国、フィンランド、国際比較
 

【この論文では】
 国立特別支援教育総合研究所のプロジェクト研究「発達障害のある子どもの早期からの総合的支援システムに関する研究」の中で、米国、英国、フィンランドについて文献調査、フィンランドでの実地調査を実施した結果を報告しています。
 このプロジェクト研究が実施された背景には、以下のような認識がありました。すなわち、発達障害のある子どもについては、早期から発達段階に応じた支援が重要であり、早期発見・早期支援の必要性はきわめて高く、これを具体化することが発達障害者支援法に国の責務として明記されたこと、さらに、これについて、幾つかの先進的な地域が見られるものの、我が国の全体としてみれば揺籃期にあったことです。
 調査の対象国としたのはアメリカ合衆国(以下、米国とする)、イギリス(本稿では、イングランドを対象として、以下、英国とする)、フィンランドの3カ国でした。
 米国は、これまでにも特別支援教育の体制がわが国に広く紹介され参考とされてきたこと、障害の分類に特異性学習障害や発達の遅れを含む等、早期からの特別支援教育の対象者の割合が多いことから調査対象国としました。英国は、「特別な教育的ニーズ」という考え方を提唱し、これはわが国における特別支援教育に影響を与え、発達障害の1つである自閉症教育に早くから取り組んできた実績があることから、同じく調査対象国としました。フィンランドについては、経済協力開発機構(OECD)による生徒の学習到達度調査(PISA: Programme for International Student Assessment、 以下PISAとする)で好成績を修めており、これは特別支援教育の目指すところと関係している可能性が考えられたことから調査対象国としたものです。
 主な結果は、以下のとおりでした。
 特別なニーズのある子ども全体について、米国では、0-2才で2.2%、3-5才で5.8%(州により3%-14%)、学齢期である6-17才では12%の児童生徒が支援を受けており、フィンランドのエスポー市では0-6才で10.3%、7-15才の学齢期では国全体として21.9%(うち7.2%がIEPを保持)の幼児児童生徒が支援を受けていることがわかりました。さらに、英国で2段階、フィンランドで3段階ある通常学校内での支援の枠組み、さらに、フィンランドの幼児教育の特別支援コンサルタント教師の存在など多くの示唆が得られました。


【論文の中で,最も強調したい点】
 第1に、米国、英国、フィンランドの早期発見・早期支援の特徴として、日本に比べて、幅広い対象の子どもに多様な支援を実施していることです。繰り返しになりますが、発達障害のある子どもへの支援として、日本では学齢期で6.3%への対応を目標としていることに比べて、米国では、0~2才で2.2%、3~5才で5.8%(州により3%~14%)さらに、学齢期である6~17才では12%の支援を行っていました。また、英国では、幼稚園・幼児学級の3歳児で約5%、4歳児で約8%、5歳児で約16%の子どもが支援を受けていました。フィンランドのエスポー市では、0~6才で10.3%、国全体として7~15才で21.9%が支援を受けていました。
 早期から支援を受けている子どもの割合が高いことは、発達障害の確定的な診断が早期において困難なことが多いことを考慮すると、非常に重要であると思われます。米国では、全州ではないものの0?2歳ではat-riskというカテゴリーで可能な限り早期から支援が開始されていたことも参考になります。
 第2に、幼稚園・保育園を専門家が支援するシステムが確立していると推定されたことです。米国では、0~2歳児のIFSP(個別家族支援計画)、3~5歳のIEP(個別教育計画)の作成に多職種専門家が関わり、英国では、early year action、 early year action plusの策定へ専門家が関与、フィンランドでは、特別支援コンサルタント教師が地域の保育園を支援するばかりでなく、保育園に特別保育園教師が配置されていました。
 第3には、3国ともに、インクルーシブで自然な環境での支援が重視されてたことです。
 なお、詳しくは、是非、以下に紹介されている論文をご覧になって下さい。



【執筆者】
   棟方哲弥・海津亜希子・玉木宗久・齊藤由美子

【論文名】

  諸外国における発達障害等の早期発見・早期支援の取り組み―米国,英国,フィンランドを中心に―

【もっと詳しくお知りになりたい場合は】

 この論文は、研究所webページにて全文掲載されています。
 http://www.nise.go.jp/blog/2000/02/a-37.html
 この研究成果が活かされた発達障害支援グランドデザイン(PDF)がダウンロード可能です。
 http://www.nise.go.jp/blog/2008/05/ver1.html
 ジアース教育新社から上記の研究をもとにした市販本が刊行されています。
 http://www.kyoikushinsha.co.jp/book/0112/index.html

【本研究紹介シートの文責】

  棟方 哲弥

本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。